職場で起きるアルハラの定義と事例
この章では、職場で生じやすいアルハラの型と、日常で起こりやすい場面を紹介します。飲み会の席だけでなく、出張や接待でも起きます。関係づくりの名目であっても、相手の意思を無視すれば問題になります。
具体的には、飲酒の強要やイッキを煽る行為、わざと酔わせる働きかけが典型です。飲めない事情への配慮欠如や、酔った後の迷惑行為も含まれます。アルコールハラスメントの防止に向け、まず輪郭を押さえましょう。
飲酒の強要
飲酒の強要は、相手の意思に反して酒を勧め続ける行為を指します。断りづらい空気を作ることも含まれます。たとえば、乾杯後にグラスが空だと場が白けると言って注ぎ足しを迫るケースです。断った理由が体質や服薬であっても、繰り返し促せば圧力となります。
仕事の評価や人間関係をちらつかせる発言も問題です。飲めないと協調性がないと示唆したり、参加しないと不利益があるように匂わせたりします。本人が場に同席しているだけで十分なこともあります。飲むかどうかは個人の選択でしょう。
企業は、ノンアルでの参加を認める方針を示し、代替飲料の用意や受け取りやすい断り方の共有が有効です。主催者が最初に選択自由を伝えるだけでも、圧力は下がります。小さな配慮が、アルコールハラスメントの防止につながります。
イッキ飲ませ
イッキ飲ませは、短時間に大量の飲酒を煽る行為です。コールをかける、ゲームで負けた人に罰として一気を求める、といった盛り上げ方が典型です。本人が望んでいるように見えても、周囲の期待が強ければ自由な判断とは言えません。危険性も高く、救急搬送の事例が毎年起きています。
飲み会の余興として定着している文化が残る職場ほど、注意が必要です。初参加の新入社員や派遣社員は断りづらいものです。体格や経験に関係なく、急性アルコール中毒のリスクはあります。安全より雰囲気を優先する姿勢は改めるべきでしょう。
主催側は、飲み方のルールを事前に明記し、ゲームで飲ませない運営に切り替えます。声出し役を置くなら、止める役も決めておきます。場を温める方法は他にもあります。クイズや軽い自己紹介など、非飲酒型の企画に移すと良いでしょう。
意図的な酔わせ
意図的な酔わせは、相手の判断力を下げる目的で飲酒を促す行為です。商談で条件をのませるために杯を重ねさせる、上司が部下に気を許させようと強い酒を勧める、といった場面が該当します。相手の利益を損ねる誘導であれば、倫理面の問題も明白です。
ペースを上げるテクニックを使うこともあります。濃い酒を小さなグラスで回す、食事を出さずに乾杯を続けるなどです。相手が断っても、場の空気を理由に続ければ意思の侵害になります。たとえ笑いが起きても、同意の証明にはなりません。
接待や懇親の目的があるとしても、飲み過ぎは関係の信頼を損ないます。主催者は、一人ずつのペースを尊重し、ノンアルの選択肢を常に提示します。合意形成が必要な話題は、飲酒の場では扱わないと決めると、トラブルの芽を減らせます。
飲めない人への配慮を欠くこと
飲めない理由はさまざまです。体質、持病、妊娠予定、宗教上の理由、家庭の事情などがあります。これらを軽んじる発言や、ノンアルを頼むと白い目で見る態度は、参加の権利を狭めます。形式的に自由だと言いながら、実質的に選べない空気も問題でしょう。
たとえば、ノンアルの選択肢がメニューにない、乾杯がアルコールのみ、割り勘でハイアルコール中心、そんな状況では肩身が狭くなります。欠席すると情報から外れる不安も生まれます。業務に関係する話題は、社内でも共有すると安心です。
幹事は、ノンアルやフードの充実、会費の配慮、開始と終了時刻の明確化を整えます。オンライン参加や途中参加も選べると、負担は下がります。誰もが気兼ねなく同席できる場作りが、アルコールハラスメントの防止に直結します。
酔った上での迷惑行為
酔った状態での暴言、暴力、セクハラ的な言動、無断の長時間拘束は、飲酒の有無に関わらず責任を免れません。記憶が曖昧でも、周囲に与えた不快や恐怖は残ります。二次会での強引な誘い、深夜の連絡も含まれます。業務外の場であっても、職場の信頼には影響します。
問題は、翌日の謝罪で済ませてしまう慣行です。再発の芽が残り、被害者は声を上げづらくなります。まず事実確認と記録を行い、行為と影響を切り分けて評価します。必要に応じて、就業規則に基づく対応を取り、被害者のケアを優先します。
主催者は、終了時刻を守り、解散後の無理な誘いを止めます。帰宅支援や連絡手段の整理も役立ちます。酔ったことを理由にせず、職場の一員としての責任を共有する姿勢が、信頼を守ります。
アルハラ認定の判断基準
この章では、どこからがアルハラになるのかを整理します。主観だけでは線引きが難しいため、共通の物差しが必要です。
鍵になるのは、相手の意思が抑えられていないか、職務上の力関係が働いていないかという点です。本人の体質や事情への配慮があるか、場の要求が妥当かも見ます。小さな違和感の積み重ねが、深刻な問題につながることもあります。
意思の抑圧
相手が嫌だと言えない空気は、明確な強要と同じ意味を持ちます。場の同調圧力が強いと、表向きの同意に見えても自由な選択とは言えません。たとえば、乾杯のたびに注がれる杯を断りづらい状況です。
断った後に理由を問い詰める行為も、心理的な圧力になります。体調や宗教、家庭の事情などは個人の領域です。根掘り葉掘り聞かれると、参加自体が負担に変わります。
主催者は、最初に飲むか飲まないかは自由と伝えます。ノンアルの選択を自然にできる導線も用意します。周囲は、勧めた後の一度の断りで止めるのが基本です。小さな配慮が、萎縮を防ぎます。
職務上の優越性の利用
上司や先輩、評価権限を持つ立場の人からの勧酒は、断りにくさが段違いです。たとえ軽い冗談でも、受け手は不利益を恐れてしまいます。昇進やアサインへの示唆が混じると、自由な選択は崩れます。
業務命令に近い形での参加要請も要注意です。連絡網に飲み会の予定が半ば当然のように組み込まれると、出欠の自由が形骸化します。会費の立替や席の配置にも、力関係がにじみます。
権限側は、勧めないことを自ら示します。仕事の評価と飲み会の参加を切り離すと宣言します。会の進行役は別担当にするのも有効です。距離を保つ工夫が、圧力の芽を摘みます。
本人の属性・状況の無視
飲めない事情は人それぞれです。体質や通院、妊活、信条、育児や介護の都合があります。これらを軽く扱うと、尊重の欠如になります。からかい半分の一言でも、当人には重く響きます。
時間帯や場所の設定も影響します。終電を超える二次会前提、喫煙可の狭い個室、強い酒中心の会費配分などです。選べない雰囲気は、参加の権利を狭めます。
幹事は、開始と終了の時刻を明確にします。ノンアルや食事の選択肢を充実させます。費用負担の公平さにも配慮します。小さな設計で、安心して同席できる場になります。
客観的な相当性
行為が業務や懇親の目的に照らして妥当かを、外から見ても納得できるかで判断します。盛り上げのためと称して一気を煽ることに、合理性はありません。接待で条件を飲ませるための勧酒も同様です。
頻度や継続性も要素です。単発でも危険な行為は不相当ですが、繰り返されると環境への影響は大きくなります。参加しない人に不利益が出ていないかも確認します。
記録を残すと、客観性が高まります。日時、発言、対応を簡潔に記すだけで十分です。判断が迷う時は、第三者の視点に立ち返ります。目的と手段の釣り合いを見る姿勢が、線引きを助けます。
アルハラを防止するための有効な対策方法
この章では、アルハラを未然に防ぐための具体策をまとめます。職場の飲み会は、関係づくりの機会にもなります。けれども、方針が曖昧だと、場の空気に流されやすくなります。
大切なのは、禁止行為を明確にし、全員が同じ基準で動ける状態にすることです。周知の方法や相談の窓口も、同時に整えます。仕組みが先にあると、個人の善意に頼らずに運用できます。日常の小さな配慮が積み重なるように、実務に落とし込みましょう。
アルハラに対する方針の明確化
まず、アルコールハラスメントの定義と禁止行為を、就業規則や行動基準に明記します。飲酒の強要、イッキの煽り、意図的な酔わせ、酔った上での迷惑行為を具体例として示すと、線引きがはっきりします。任意参加とノンアルの選択自由も、冒頭に掲げます。
開催ルールは簡潔にします。開始と終了時刻、二次会の任意性、ゲームで飲ませない方針、会費の配慮などです。幹事と止め役を指名し、場の安全を管理します。会議体と同じく、主催者の責任範囲を明文化しておくと、有事に迷いません。
違反時の対応も、曖昧にしないことが要点です。事実確認の手順、再発防止策、懲戒の可能性までを階段状に整理します。また、社外の席でも会社の基準を適用する旨を明記すると、接待や取引先との会でもぶれません。
社内での周知と啓発
方針は、伝わってこそ機能します。入社時研修と年度更新のタイミングで、短時間の教育を実施します。動画やeラーニングにすると、忙しい現場でも受講しやすくなります。チェックテストを添えると、理解度の可視化にも役立ちます。
日常のリマインドも効きます。飲み会案内のテンプレに、任意参加とノンアル歓迎の一文を標準で入れます。社内ポータルに幹事ガイドを置き、店選びや会費配分のコツをまとめます。季節行事の前に、通知で再掲すると効果が続きます。
迷った時の相談先が一目で分かるカードを配布します。スラックの固定メッセージや、会議室の掲示も活用します。事例紹介は、個人が特定されない形で共有します。被害の発生だけでなく、未然に止められた良い実践も取り上げると、現場に広がります。
相談に対応するために必要な体制の整備
複数の相談経路を用意します。人事窓口、匿名フォーム、外部ホットラインの三層にすると、声が上がりやすくなります。受付は守秘と報復禁止を約束し、受付記録の扱いを明示します。相談しやすさが、早期対応につながります。
初動フローは一本化します。事実の確認、関係者の分離、体調ケア、記録保全の順で進めます。軽微に見える場合でも、再発リスクを評価して、必要な教育や配置見直しを検討します。判断の偏りを避けるため、二名以上で対応します。
社外の専門家とも連携します。産業医やEAP、弁護士への紹介ルートを定めます。深夜帯や休日に備え、緊急時の連絡手段も共有します。定期的に窓口の運用を振り返り、対応時間や解決までの平均日数を見える化すると、改善が進みます。
ハラスメントの意識が高まっている昨今、中小企業にも対策を義務化する「パワハラ防止法」などが制定されました。
「コマッタサン」は、従業員が安心して報告・相談できる社外窓口として社内のハラスメント対策になるとともに、被害者の不要な退職を防ぎ、採用にかかるコストを削減できるサービスです。

まとめ
本記事では、職場のアルハラの型と線引きをまとめました。強要やイッキ、意図的な酔わせ、配慮欠如、酔後の迷惑行為は避けるべき行いです。意思の抑圧や優越性の利用、個々の事情の無視、妥当性の欠如が判断軸になります。
防止には、方針の明文化と周知、相談体制の整備が要です。開催ルールを簡潔にし、ノンアルの選択を標準に。まず案内文と幹事ガイドを更新し、止め役を決める。小さな設計変更が安心な場づくりに直結します。
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