職場で起きる就ハラの定義と事例
就活の場で、求職者が不利になるような言動や圧力が繰り返されることを就活ハラスメントと呼びます。面接や説明会、インターンの場で起こりやすく、学生や転職希望者は断りにくい立場です。結果として、応募をためらったり、本来の力を出せなくなることもあるでしょう。
本章では、よく見られる五つのパターンを取り上げます。性的な言動、威圧や暴言、内定辞退を防ぐための過度な催促、不適切な質問、そしてSNSを使った付きまといです。どれも一見小さな出来事に見える場合があります。積み重なれば深刻な影響となります。
具体例を知ることで、どこからが線引きなのかが分かります。採用担当だけでなく、現場の社員にも関わる話題です。就活ハラスメント防止の第一歩は、正しい理解から始まります。
性的な言動
服装や体型、容姿に関するコメントを面接で口にする。食事やデートをほのめかし、断れない空気をつくる。こうした場面は、就活の場では性的な言動として問題になります。仕事の評価と無関係な話題は、応募者の尊厳を傷つけるからです。
写真の送付を求める、私生活の交際状況を探る。笑い話のつもりでも、相手は選考の場にいます。反論しづらい関係での発言は重く受け止められるでしょう。
説明会や懇親会でも同じです。席の配置や距離感、冗談のやり取りで不快にさせることがあります。たとえ短時間でも、繰り返されれば就活ハラスメントに当たる可能性が高まります。
採用基準に不要な話は避ける。記録を残し、二人以上で対応する。就活ハラスメント防止には、場づくりの工夫が要ります。
威圧的な態度・暴言
「この程度もできないのか」と強い口調で詰める。椅子や机を叩くなど威圧的な態度をとる。こうした場面は、応募者に過度な心理的負担を与えます。面接の緊張は誰にでもあります。恐怖を感じさせる対応は評価の妨げになるだけです。
圧迫面接を方針として続ける企業もあります。狙いがあっても、言葉選びや態度を誤れば暴言となるでしょう。人格を否定する表現は論外です。
遅刻や不備があっても、事実確認と説明で十分です。声を荒らげる必要はありません。評価したいのは能力や適性であり、耐性競争ではないからです。
面接官が増えるほど温度差が生まれます。質問の前に意図を共有する。質問後は感謝を伝える。小さな工夫が就活ハラスメント防止につながります。
就活の終わりを急かす
内定後に短い期限で回答を迫る。連日の電話や連絡で判断を急がせる。これらは、応募者の選択の自由を狭めます。比較検討の時間は必要です。十分な検討ができないと、入社後のミスマッチも起きやすくなります。
他社の選考状況を執拗に聞き出す。辞退を思いとどまらせるために長時間の呼び出しを続ける。こうした対応は、心理的な圧力となるでしょう。
適切なのは、期限と根拠を明確に伝えることです。例えば、配属計画上の締め切りや、研修準備の都合といった事情です。納得できる説明があれば、応募者も計画を立てやすくなります。
リマインドは回数と時間帯を決めておく。メール中心にして、電話は同意を得てからにする。これだけでも就活ハラスメント防止に役立ちます。
不適切な質問
家族構成や結婚の予定、出産の見込みといった個人に踏み込む質問は、採用の公平性と無関係です。信仰や支持政党、出身地に関わる話題も避けるべき領域となります。選考に必要な能力とは切り離して考える必要があります。
兼業の可否や通勤手段など、業務に関係する確認は可能です。ただし、目的と範囲をあらかじめ伝えることが大切でしょう。聞き方ひとつで受け止め方は変わります。
質問票や面接ガイドを整備すると、線引きが分かりやすくなります。面接官によるばらつきも抑えられます。
疑問があれば、その場で代替の聞き方に切り替える。例えば、将来の計画ではなく、勤務可能な時間帯や転勤への希望を確認する形です。就活ハラスメント防止に直結します。
SNS等を利用した付きまとい
応募者のアカウントを探し出し、無断でフォローやメッセージを送る。内定の連絡を私的なSNSで行う。こうした行為は、仕事と私生活の境界を曖昧にします。選考への影響を意識させるため、相手は断りづらい状況に置かれるでしょう。
懇親会の写真をタグ付けする、返信を急かす絵文字やスタンプを多用する。軽い気持ちでも、受け手は監視や圧力と感じます。記録が残る点も見過ごせません。
連絡は公式の連絡手段に限定する。時間帯も就業時間内を基本とする。担当者個人のアカウントは使わない。これが安心の土台です。
採用広報の閲覧データを扱う場合は、目的と保管期間を明示します。アクセス権限を絞り、ログを残す。こうした配慮が就活ハラスメント防止につながります。
就ハラ認定の判断基準
就活の場で起きた出来事が、単なる不手際か就ハラか。見極めるには軸が必要です。ここでは三つの視点で整理します。
会社と応募者の力関係、行為の必要性や相当性、そして環境への影響です。具体例と合わせて考えると、境界がはっきりします。
面接官の感覚だけで判断しないことが大切です。記録や複数人の目で確認し、再発防止に生かしましょう。
優越的な関係を背景としているか
採用の可否を握る側と、評価される側には大きな力の差があります。面接官の何気ない一言でも、応募者には圧力になることがあります。断りづらさが高いほど、優越的な関係の影響は強いと考えられます。
例えば、懇親会での誘いが半ば強制に感じられる場合や、担当者が個別に私的連絡を重ねる場合です。選考の行方を左右する立場だからこそ、相手は拒めないと受け取りやすいでしょう。
会場の配置や人数、対応時間の長さも関係します。密室に近い場や一対多の状況では、心理的な負担が増えやすいからです。
判断するときは、言葉だけでなく場面全体を見ます。録音やメモ、同席者の証言があれば、関係の不均衡を客観的に確認できます。
選考上の必要性・相当性があるか
質問や対応が、その職務に本当に必要かどうか。ここが二つ目の軸です。業務適性の確認につながる内容や、企業の安全確保に関わる事項は、目的が明確なら相当と考えられます。
一方で、家族の予定や私生活の詳細は、職務能力と無関係です。締め切り設定も同様で、採用計画の根拠が示せないほど短い回答期限は、相当性に欠けると見なされます。
評価手法も過度であってはなりません。高圧的な態度でストレス耐性を測るやり方は、必要性の説明がつきにくいでしょう。
判断の実務では、目的と手段の対応関係を書面で整理します。代替可能な質問や連絡方法があるなら、より負担の小さい方法を優先します。
環境が害されているか
三つ目は、応募者の就活環境が実際に悪化したかどうかです。不安や萎縮で本来の力が出せない、応募や内定承諾の判断が歪められた。こうした結果があれば、環境侵害が疑われます。
継続性や累積も重要です。短時間でも、同様の言動が重なると影響は大きくなります。面接後に体調不良や睡眠障害が続くなど、具体的な変化があれば記録しておきましょう。
会場の掲示やメールの文面など、周囲の雰囲気が萎縮を生む場合もあります。個別対応だけでなく、運用全体が安心して応募できる状態かを見ます。
証拠としては、時系列のメモ、メールやチャットの履歴、同席者の所見が有効です。再発防止の観点では、当事者のケアとあわせて、手順や教育の見直しにつなげます。
就ハラを防止するための有効な対策方法
就ハラを防ぐには、属人的な配慮に任せず、組織としての仕組みを整えることが大切です。まず、何が不適切かを言葉で示し、誰もが同じ基準で動けるようにします。
次に、日々の運用へ落とし込む準備です。教育、ルール、相談体制をそろえて回すと、現場で迷いが減ります。小さな違和感を早く拾える形ができると、重大化を防げるでしょう。
就ハラに対する方針の明確化
最初の一歩は、会社としての立場をはっきり示すことです。定義、対象場面、禁止される言動、違反時の対応を短くまとめ、採用サイトや応募要項にも掲載します。トップのメッセージを添えると、形だけでない本気度が伝わります。
面接や内定後の連絡で使う表現は、言い換え例まで用意すると迷いません。例えば、回答期限の伝え方や、他社選考の聞き方です。判断の根拠となる「選考上の必要性」を併記しておくと、現場での線引きが安定します。
さらに、個人SNSの使用禁止や連絡時間帯の原則も明記します。例外の扱いと承認フローを決めておくと、現実的に回せます。定期的に見直し、更新履歴を残す運用が望ましいでしょう。
社内での周知と啓発
方針は作って終わりではありません。採用に関わる全員が同じ理解になるよう、年に数回の短い研修を設定します。ケース動画やロールプレイを使うと、曖昧だった線が自分事としてつかめます。
面接官には、質問してよい範囲のチェックリストと、面接進行台本を配ります。評価シートは質問と連動させ、逸脱を気づける形にします。新任面接官には、同席期間を設けてから単独に移る流れが安全です。
日々の啓発には、社内ポータルに「よくある迷いと答え」を置き、繁忙期にリマインドを流します。採用広報の担当者にも同内容を共有し、説明会や懇親会での言動まで目を配ると抜けが減ります。
相談に対応するために必要な体制の整備
万一の時に動ける仕組みが欠かせません。人事内に相談窓口を置き、匿名投稿と通常相談の二系統で受けられるようにします。外部の専門窓口とも連携し、応募者が社外からも助けを求められる経路を示します。
初動は、事実確認、影響の把握、緊急度の判断の三点を時系列で行います。標準の記録様式を用意し、メールやメッセージのやり取りは証拠として保全します。関係者への連絡は最小限とし、二次被害を防ぐ配慮が必要です。
再発防止までを含む対応計画を作り、是正措置と教育の見直しにつなげます。相談件数や傾向を定期的に集計し、経営会議で共有すると、継続的な改善が進みます。守秘と報復の禁止を徹底する一文も、安心の支えになります。
ハラスメントの意識が高まっている昨今、中小企業にも対策を義務化する「パワハラ防止法」などが制定されました。
「コマッタサン」は、従業員が安心して報告・相談できる社外窓口として社内のハラスメント対策になるとともに、被害者の不要な退職を防ぎ、採用にかかるコストを削減できるサービスです。

まとめ
就活ハラスメントは、優越的な関係を背景に、必要性や相当性を欠く言動で応募者の環境を害する行為を指します。
防止には、方針の明確化と周知、相談体制の整備が要です。記録の徹底と公式手段の利用、回答期限の合理的設定も効果があります。
定期的に研修と運用を見直し、件数や傾向を共有すれば、早期発見と再発防止につながります。応募者の安心を守ることが、企業の信頼と採用の質を高めます。
小さな違和感も見逃さず、早めに相談を促しましょう。
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